2 1 7[ nie - ichi - nana ] vol.1

日 時: 2010年 7月 30日 PM 7:00〜
会 場: ライティング・コア(大光電機 本社ショウルーム)

ゲスト: dot architects (家成俊勝・赤代武志・大東翼)
対 談 : 芦澤竜一 平沼孝啓




芦澤:
皆さん、こんばんは。今から始まる「217」ですが、今日は1回目ということで、ちょっと試行錯誤することもあるかもしれませんが、許してください。
さて、1回目のゲストはdot architectsの3人の皆さんに、色々お話をお聞きしようと思っています。 なぜdot architectsをゲストに呼んだのかと言うと、他にも色んな人がいたんだけど、dot architectsの名前の意味が分からなくて(笑)最初にそこから話を聞いてみたいなと思いました。
dot architectsは、色んなご活動をされていて、今日詳しく話をしてもらえると思うんですけど、初めに3人のご紹介をします。まず、家成さんは74年兵庫県生まれで、大阪工業技術専門学校を出られて、その在学中から設計活動を始められ、dot architectsを皆さんで設立されました。赤代さんも兵庫県生まれで・・・皆さん大阪じゃなくて兵庫県生まれなのですね。(笑)神戸芸術工科大学を出られて、その後に北村さんのところと宮本さんのところで働かれて、それからdot architectsを始められました。最後に大東さんは、歳がちょっとお若くて、77年、やはり兵庫県生まれで、大阪工業技術専門学校を出られまして、それから工務店などでも働かれ、dot architectsを設立されています。今日はその3人をまじえ、僕ら5人で、途中ちょっとCMが入りながら、全部で1時間半くらいの会になるので、どうぞお付き合いください。その後には、懇親会も1時間ほどやる予定です。じゃあ・・・どんなふうに始めましょう?(笑)
家成:
話してもいいですか?(笑)
dot architectsの家成です、こんばんは。今日はこのような場所に、芦澤さんと平沼さんに呼んでいただいて、どうもありがとうございます。今日は今まで何か大阪になかったような、皆で緩やかにフランクに話し合える場所ということで、色々お話できたらいいなと思っています。僕らも前でビールを飲んでいるくらいなので、皆でワイワイと話していければいいなと考えています。
まずは芦澤さんの聞かれたdot architectsの名前についてですが、たまに聞かれるんですけど、実は本当にたいした理由がなくて、(笑)最初はただ、「アトリエ.(ドット)」という、アトリエにピリオドを打っているだけのものだったんですけれども、自分たちで何か固有の名前を立ち上げることの気恥ずかしさみたいなものがありまして、それですごく匿名性の高い事務所の名前にしようと思って、しばらくやっていたんですけど、ある日ニューヨークの友達が来て、これは何をやっている事務所か分からないと言われたもので、何がいいか考えて下さいと言ったら「dot architects」じゃないですか、と言われてこれに変えたという、すごく不埒な看板の揚げ方で申し訳ないです。
それで、先ほど少しご紹介にもあったように、僕たちは一番初めは98年くらいから、建築というよりかはインスタレーションに近いんですけれども、発表活動を始めました。これまで10年ちょっとのあいだにやってきたプロジェクトが、このくらいあります。
平沼:
98年に独立したのですか。
家成:
独立というよりかは、このときはまだ専門学校に行っていて、そのときに知り合いの知り合いが、結婚したいけどお金がないので、結婚式場で挙式ができないから結婚式場をつくってくれって言われまして、それで東大阪の公民館を一晩で結婚式場に、僕らが現場でつくることになったんです。
芦澤:
僕も最初、ユニットでやり始めて、3年で崩壊したなぁ。やっぱり匿名性とか言っていたけど、皆個人個人が強くなって、そういう意味では、共同でやっている人ってすごいなぁと思います。
家成:
共同なんですけど、それぞれの我はそれぞれが勝手に通していくようなところがあって、ただ、誰かが誰かを強制するといったことは一切しない組織の在り方ですね。
これが最初にやった結婚式場の写真です。これを一晩でやったんですけど、当時、ボルタンスキーがすごく好きでして、この中に現代美術が好きな方もいらっしゃるかもしれませんが、このときはボルタンスキーの表層をパクるということをしました。ボルタンスキーというのは、ドイツの、いわゆるホロコーストを主体に展開している作家なんですけれども、そういう表層だけをパクってこういう結婚式場をやると、まるで葬式場に変わってしまったというような・・・一番上に、新郎と新婦の写真を白黒でコピーして貼っているんです。(笑)神父は友達の鉄筋工がやることになり、ちょうど髭が生えていて長髪だったので良いのではないかということになりました。(笑)
まぁ、とんでもない感じでしたが、どこかのある結婚式場のような既存の制度に乗っからずに、自分たちで勝手につくっていくことを試みた作品です。
平沼:
じゃあこれが処女作?
家成:
そうです。あんまりこれで突っ込まれると、ちょっと恥ずかしいですが。(笑)
芦澤:
でも一生、処女作は変わらないでしょう。
家成:
そうですね。あえてときどき話すんですけどね。

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