平沼 : いろいろ、妹島さんのつくり方のような、設計の進め方のようなお話しをお聞きしたいのですが、時間がなくなってきましたので、後半のお話しをお聞かせください。

妹島 : はい。ここからは今取り組んでいるプロジェクトについてお話しします。
この写真は、今、実施設計おわって、たぶん夏くらいから現場にはいる、東京郊外につくる小さな図書館です。きっかけは、プロポーザルからはじまったのですけど、青梅街道っていう旧街道に面し交通量も多いのですが、緑があふれていて、住宅が並んでいて、結構静である通りです。もともとこの場所には、図書館の分館があったのですが、その建て替えをするのに合わせて、近くにある公民館の分館と合わせて一つにする計画です。私たちは、ある程度分けながら、ある程度合わせたような建築を考えました。私たちが提案したことは、もともと、3階建が建っていたのですが、このヴォリュームをこの辺の住宅と同じような感じにしていったらどうかなということです。この写真が1階ですね。ここは図書館と公民館の機能がまじって。周りが住宅で、ここが入口ですね。図書館によく、雑誌を見るコーナーが最初にあるわけですけれども、そういうのがこの角にあります。地元に人たちが、自販機の飲み物を飲んだりしながら雑誌とか新聞を読みたいというので、この場所に出しました。これが公民館の機能の、料理をやったりする部屋と陶芸をやったりする部屋です。そのまま庭につながっていったらいいんじゃないかということで。事務室の一部がここと地下にあって。ここから上に上がっていくところですね。2階でだんだんそれがつながってきます。ここが子供用の図書館と公民館の講義室の一つなのですけれども、それが合わせて使われて。3階になったらもっと四角形になっています。地下に音が出るホールとかが入っているのですけれども、だんだん庭に散らばっていたものが、上でなるたけ四角形に近いかたちになってくるというのをつないでいったものです。模型上、今こういうふうにかたちをつくっていますけど、半分くらい壁で半分くらいガラスで、緑とまじったようなものをつくろうとしています。

次は、ニューヨークから1時間くらいいったところで、すごく綺麗なところなのですけども、もともとは競走馬を育てていた場所に計画をしている建物です。まだパドックなんかが残っていて、この辺に馬小屋が残っています。昔はアメリカの日曜日の朝というのはいろいろな家族が教会に集まって、宗教的なことだけではなくてコミュニティセンターの役割をしたと。今の教会はその役目は果たしていないということで、クライアントの人たちはその教会のようなもの、その人たちはサンクチュアリというのですが、プラス、コミュニティセンターのようなものをつくりたいということで計画が始まりました。すごく綺麗な大きな敷地のトポグラフィに合わせて、その教会のかわりになるようなもので、ホールとしても使われて。ここに大きな食堂みたいなものがあって図書館みたいなものがあって、体育館。それからもとからある馬小屋を改造して子供たちの学校みたいになって。サッカー場だったり野球場だったり、それからずっと歩くコースがあって、小さなチャペルがあるというようなものをつくろうとしています。これはスチールの柱と木の梁でつくります。カーブで最初やりだしたらすごいお金が高くなってしまったので、直線の木をつかいカクカクしているんだけれども、それをつなげていってランドスケープにあった形にしようとしています。これは体育館の部分で、スパンが大きいところは下にテンションをいれています。体育館は半地下になっています。こういうふうに外から下がみえるようなかたちです。インテリアのところは梁が露出していて、外部にいっぱい庇がでているわけですが、その辺は天井をはってしまうようにしました。

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