平沼:この絵を見たことがあって、すごく印象的な高架式の遊歩道、これ結構構造検討されましたか?結構橋でコンペ案とかプロジェクトの依頼が来ますけど、平田さんの場合は、初めにこういう絵まで想像できるタイプの建築家ですか?それとも結構最終までこういうCGは最後までわからない建築家ですか?

平田:結構検討しました。川の上に泡みたいなブリッジが立っていたらいいし、それは多分構造的に3次元的に持つだろうと、というとこは最初に想像できていました。どういう形になればいいのかっていうのは、もやもやっとしているので、わかんないですね。それを見つける作業が設計みたいなとこがありまして、この場合も一見すると構造がないように見えますけど、実は一枚の面をくるっと丸めて、それを穴だらけにして、それを穴開けたところが、上下につながるみたいなやり方をしました。上の面と下の面の間に、納豆のねばねばみたいにこう足していくと強くなる。大まかには筒状の構造体が基本形としてあって、その筒がボロボロになりながらも、つながっていくっていうやり方をしました。構造的には2つのスケールが合体したみたいな、筒の話とネットワークの話。それは、 構造家の新谷眞人さんと一緒に考えました。

芦澤:この泡でいこうっていう、その決め所っていうのはかなり初期に決まっていたのですか、それともいろんなモチーフなりキーワードを出してスタディしてから決まっていくのか。

平田:最初はあまり泡と思っていなかったんですよ。1次は発酵する建築と言って通って、何人かに見せたときに、これは海の泡みたいでそこがいいよねって言われて、あっそれだ!ってなったんですね。

芦澤:平田さんて、ある程度ご自身でやりたい形なり、目指したい状態っていうのがあって、それをフィットできるようなプロジェクトなり、コンペなりがあるとスッとはめていくタイプなのかなというような読み方を勝手にさせてもらって。場所のコンテクストを忠実に拾い上げてそれから組み立てていくよりは、かなり抽象度を高めて、ご自身のフィルターでやりたいイメージと手法を持って展開できる場所に充てていく、というように映ったんですけど、どうでしょうか?

平田:うーん、とはいえ何をするかはその場その場で結構選んでいますよ。選ぶべきパターンがなかったらそうかもしれないけどせめて 10個とかあったらそう はならないような気がしますけどね。
木にみたてた集合住宅なんかは 周りとは関係なく自立的にやっていると思われるかもしれないけど、日本の都市 では東京のように地形が結構ひだ的なものもあって、そういう特質を増幅するような植物のような建築が生えてきてもいいのかなと思ってやっていたり。 もちろん原型的なものがあってそれが育っていくみたいなことに魅力を感じてもいるんですけど、どの種を選ぶかっていう次元でいくつかの選択ができて、それからどの様に育つのかっていう話ももちろんその場所によって育つ訳で。最終的にできた時に、今までそこにはなかったけれども、でもそこにあっても良いかもしれないなという自然な感じは大事にしたいと思いますね 。


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