鈴野:はい。次は、全然アウトプットは違いますけども、考えている事は同じで、ミッドタウンの芝生広場で、毎年秋のイベントをやるので、そこにワークショップを開けるような何かをつくってほしいということを言われました。「ガリバーテーブル」っていう50mもあるようなテーブルです。こちらから入ってくるんです、こっちから見ると、建築的なスケールで2m以上あるんです。次の写真を見ると、こちらから見ると50cm位のサイズで、この天板が、来た人も疑う人がいますけど、徐々に高くなっているかって言われますけど、敷地がこうゆるく、下がっていっているんですね。断面的には一本の線が引いてあるだけですけども、そこにいろんな関係が生まれてくるという、ここでイベントとかもしているんですけど、全くフラットだと思って扱っています。場所に行ってみたら、微妙なスロープが面白いなと思って、それを潜在しているものを引き出せないかなと思いました。これを見ると、上がっていくように見えますけど、テーブル自体はフラットです。その中にテーブルがあったりとか、いろんな場所に出していっている感じです。こういう時に、一つの同じ時間と同じ場所を、いろんな人がいろんな行為をしている時間がすごくいいなと思いました。子供とかはアスレチックみたいにするし、足がだんだんつかなくなっていったりするんです。いろんな向きでご飯食べている人もいれば、テーブルの下で仕事しているような人もいます。

平沼:でもこのテーブルは、フラットですよね?

鈴野:はい。ずーっと。構造家の大野ジャパンの大野さんに1個だけ一番大きいところのモックアップを作ってもらいました。なるべく家具のスケールにしたいと思って、全部ばらしてまた使える木としてつくりました。

平沼:なるほど。この画像すごくわかりやすい。

鈴野:そうですね。

芦澤:家具スケールと建築スケールを、繋いでいる感じが面白くて、その間がすごく面白いですよね。家具になっているところと建築になっているところの、この間をもう少し操作もできそうな気もしたのですけども、どうですかね。

鈴野:そうですよね。別に自分たちが形を与えていなくて、いわゆる外用ガリバーテーブルを巨大化していたり、キャノンも光の形を見出しています。ある規制のものを、いきなり伸ばしていく方が、人も親しみやすくなるかなと、デザインを自分たちではしていない感じですけど。そこの発見にとどめて、アトリエワンの塚本さんもリムジン屋台をつくっているじゃないですか。屋台をそのまま伸ばしてるのが面白いですよね。このガリバーテーブルは公園とかによくあるテーブル付きベンチみたいな物をそのまま巨大化したものです。

平沼:多分、芦澤さんが言ったように僕たちが考えるとこういう断面までなのです。構造となる着地面を考える時に、柱のように直線で落とそうとしたり、どちらかというと、人と建築だったり、空間との距離感を保とうとする。家具の方が近いのをわかっているのに、建築の柱にある直線をとってしまったりするような世代というのか、癖が残っている。ニュータイプだと思うのは多分、人との近さを、ちゃんと意識されているという点。そしてキャノンの方は、あれ墨出し用の水糸なんですよね。きっと僕なんかがやると、見えないくらいの張力に期待をしてしまう構造を求めて、カーボンを使おうとする。そしてまた、建築的な存在が現れて人との距離が開くのですね。でも鈴野さんは結局、大野さんとやっていても身近なものの応力を考えたりするわけですよ。すごくテクニカルなことをやられているのに、見た目はすごく親しみやすいような存在に落とされているなと、思いました。ちょっと難しい質問をしてしまうのですが、どういうものに影響を受けられていますか?

鈴野:アートとか、建築的な物が好きです。空間にまで影響を与える物とかに影響を受けますね。街を歩いていて、そういうところからの影響が一番大きいです。漫画はよく読みます。

平沼:本当ですか?すごい。具体的にどんな漫画ですか?

鈴野:具体的にとも言えないぐらい。(笑)

芦澤:ははは、言えないぐらい。1日何時間ぐらい読んでいますか?

平沼:そんなに読むの?

鈴野:はい。(笑)でも本当、そんな感じなんですね。

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