鈴野:コミュニケーション能力が求められているなと思っていて、話していくと建築という回答じゃなくても問題を解決できるようなことが結構あったりして、ついこないだもスイス大使館から150周年なので、今スイスと日本の関係が、展示の会場構成をして欲しいと言われました。小さい場所に閉じ込めて、予算がない中でやるよりも、スイスデザインいっぱいあるから、それを見に行くような仕掛けを作ろうとして、地図をつくったりとかしました。そういう感じで、建築家の役割は、もしかしたら建築を作ったり会場構成をすることにとどまらないようなことで、この都市ってものがあって見方を変えるだけでそれがもうリノベーションになるのじゃないかなということが一番根本にあって、で、自分でも建築勉強して来て東京出版の建築マップとかを学生の頃ずっとかばんの中に入れて、行くと、はっと、街がミュージアムになる訳ですよね。
僕の知り合いは植物が大好きで、どこに行ったら何の食べられる実があるとか、種を拾いながら庭に持ち帰って蒔くぐらい植物に詳しいと見えている街が違いますよね。そういう風に見方をとにかく変えるってことが大事だなと思っていて、地図があって街に出るだけで宝物探しみたいになるし変わりますよね。そういうことが前提にありながら建築ってやっているとこがあるんだろう。
リアルな空間が与えるパワーというものを信じて、建築は理解しておきながらも、そこだけではないなっていう所を広げていくってとこかなって思っている。

芦澤:それだけでは今の社会では、適応できないだろうということですね。そこが今日、話を聞かしてもらうと伝わってきました。

平沼:残念なことに、鈴野さんの最終・新幹線のお時間がきてしまいました。今日は、お時間のない中、このために大阪にお越しくださって、どうもありがとうございました。

鈴野:いや、こちらこそ今日は時間がなくて、すみません。僕もとても楽しかったです。
今日はありがとうございました。

一同:ありがとうございました。

会場:(大拍手)

田中:鈴野さん、芦澤さん、平沼さんありがとうございました。それでは心苦しいのですが、もう新幹線のお時間なので、先にご降壇いただきます。皆様、大きな拍手でお送りください、ありがとうございました。

会場:(大拍手)

平沼:いやいや、どうでしたか?今日の鈴野さん。僕などの自分にない答えを持たれている感覚の建築家は、たくさんおられると思っているのですが、その中でも、中々、おもしろいなぁ、と思いました。

芦澤:非常にいい意味で、悪い意味ではなく、普通の建築を一般の人に近いものとして与えてくれる建築家かなぁという風に感じました。おもしろいですね。

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