平沼:なるほど。
早速ですが、どんな少年時代でしたか?

西沢:え。(笑)…普通だったと思います。

平沼:(笑)大良さんと、立衛さんはどのようなご関係ですか?

西沢:大良くんが兄で、僕が弟です。大良くんは スケールの大きな人で、小さいころから 大物でした 。僕は次男でいつもすばしっこく、彼は動かないというのかなぁ…大物でしたね。いつも僕はまとわりついて、あっち行けって言われていた感じがあったと思います。

平沼:実は、このレクチュアシリーズに来てくださっています。

芦澤:何年くらい前でしたっけ?

平沼:ちょうど3年ほど前ですね。大良さんはとても職人気質の方で、数学者を目指そうとされていたとお聞きしました。

西沢:相当つくっていると思います。(笑)
でも、彼は数学が 好きで、また得意で したから、 まるきりウソではないでしょう。

芦澤:西沢さんは何かに成りたいものはありましたか?

西沢:僕は特になかったのですが、中学、高校生のときは映画にハマっていて、 よく映画を見ていました。後は、かっこ悪いのですが、詩が好きでした 。一度母親に、映画監督になったらどうかと言われた ことがありましたが、当時は高校生ですから、大学 にある専門分野に進んで、その流れで就職するものと 思い込んでいて、映画の学科が大学に なかったですし、なんとなく、その意志も忘れていきました。

平沼:それからどのように建築学科に入られたのですか?

西沢:それはやはり、兄の影響がありましたね。また、
高校当時の 先生の指導も、理系でかつ芸術的なことが好き というと、そのまま「建築学科へ」と言われました。だから最初は建築なんて全然興味もありませんでしたし、何も全く分からなかったのです。

平沼:それでは、早速にプロジェクトの説明をお願いします!

西沢:今ので平沼さんの質問の答えになりましたか?(笑)

会場:(大笑)

平沼:はい。大丈夫だと思います。

西沢:はい。このスライドは、豊島美術館という美術館で、何年か前に瀬戸内海に「豊島」という島につくった美術館です。普通の美術館と少し違っていて、内藤礼さんという現代作家の作品を1点だけ、永久設置という形で設置するということでした。普通美術館は作品が変わるので、未来の作品に対しても考えることで、汎用性が大きな問題になるのですが、ここでは逆に展示替えがないので、ずっと永久に作品と建築と環境が一緒にあり続け ることが大きなテーマと 感じました。一体感、連続性がすごく大きなテーマになるなと思いました。このまま僕が話していていいですか?

平沼:はい。もちろんです。

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