平沼:大物のコンペをされると、ほとんど勝たれているのはないですか。

原 :そんなことないんです。やっぱりプロっていうのは負けた時のことをしっかりと覚えているもんです。将棋もよく、勝った時の事は絶対覚えてない。負けた時の事だけを覚えていると言われますし。

平沼:実際の建築の場合もそうですか?

原 :まぁそうだよね、失敗が多い。(笑)
最後になりますが、去年の暮に千葉県の市原湖畔美術館で行った展覧会の様子を。上がアリストテレス、下がナーガール・ジュナ、「非ず非ず」の元祖ですね。こういう写経をやって絵にしたんです。その巡回展を梅田スカイビルで6月中旬からやりますので皆さん来てくださいという事で、今日の話はこの辺りで終わりにしましょうか。(笑)

平沼:はい。(笑) 今日はどうもありがとうございました。

芦澤:ありがとうございました。

原 :どうもご静聴ありがとうございました。

AAF:ありがとうございました。それでは、はい。お心苦しいのですが、原先生には先にご後段頂きます。皆様大きな拍手をお願いします。

会場:(大拍手)

平沼:みなさんいかがでしたか?どうでしたか、芦澤さん。

芦澤:いやー、面白かったですね。

平沼:ふふふ。ほんとにおもしろいなー、もう延々とお聞きしていたい。

芦沢:だぶんずっとお話しをお聞かせていただければ、ずっとお話していただける感じですよね。

平沼:僕たち開催の前の控室で、隣にいさせてもらっている時にも、何かをひとつお聞きしても、いくつもの回答が返ってくるんです。そこには議題も込められて、いくつもいくつも・・・尽きないんですけども、返ってくるボールはドストライクもあるけど、それは剛速球であったり変化球もあったり、大変な暴投のような球があったりして、だからこそ、延々とお聞きしたくなるのですね。当然、なんでもご存知で、でも僕たちなどの若輩者にも、きちんと応えようとしてくださる。さすがだなと思いましたのと、本当に敬服いたします。

芦澤:原先生が「建築がやさしくなりすぎた」と、どこかで書かれていました。それがこう非常に不幸な事だっていうようなニュアンスで書かれていたけど、今日のお話しをお聞きしていても、なんかそういう実感を持つような感じがしました。途中の話しの中で、僕はちょっとついていけないところもありましたが。仏典の話付近は、とても難しかったです。

平沼:そうですね。原先生の今に触れさせていただけたことで、建築家という人は確かにすばらしいのだと、あらためて実感をさせていただきました。
さて、今日で開催5年目の最終回となりましたが、本年度もありがとうございました。
今日は、こんなにも建築に興味をもたれる方たちが多いことを実感させられくらいの方たちに、お集まりいただいてありがとうございました。予定数の倍くらいの方たちにお越しいただいたそうで、半数以上の方たちが立ち見となり、会場に入りきれない方も多くおられたようで申し訳なく思います。
それではあらためて、来年度もよろしくお願いいたします。
本日はみなさん、どうもありがとうございました。

芦澤:ありがとうございました。

会場:(大拍手)

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