会場2:今日は楽しいお話をありがとうございました。今話題なんで、ザハ・ハディドの新国立競技場について、別に批判とかどう思ってるとかじゃなくてもいいんで、俺だったらどんなのを建てるとか、そんな話でもいいんで、もし何かありましたらお聞かせください。

手塚:俺だったらどんなの建てるって言われたら今から考えなくちゃいけないから、あと1週間くらい時間いただかなくちゃ難しいと思うんですけども(笑)。

会場:(笑)

手塚:ただね、あの敷地がいいと思わないですね。やっぱり都市の中で緑って貴重なので。あそこの緑を減らさずやるべきだと思っています。ただその一方で、ザハ・ハディドさんがやるのはいいことだと思っていて。一回コンペやったからには、国として責任があると思うんですよ。やったからにはちゃんと完遂しなくちゃいけないですよね。あのデザインがいいかどうかっていうのはね、私はザハ・ハディドが1個ぐらい日本にあってもいいんじゃないかと思うんですよね。ただザハ・ハディドが10個あったらちょっとまずいと思うんですよね(笑)。

会場:(笑)

手塚:まあそういうことですよね。ザハ・ハディドさんの作品もいいものはなかなか私いいと思いますよ。ただ、そんなに街中にコロコロあるもんじゃないかなとは思ってますね。あれ担当してるのは内山美之という、私のリチャード・ロジャース時代の親友なんですよね。かわいそうに大変だと思うんですよね、今。だけどね、槙先生の言うこともものすごくよくわかるんですよ。街の中にあんな大きいのをつくるって何事だと。それはその通りだと思う。だけどその一方で、コンペやったからには、それはコンペの結果に対してね、ちゃんとやんないといけないと思うしね。やっぱり勝ったからにはその人に与えるって、原則だと思うんですよね。それを否定することもないと思うし。難しい、複雑な気持ちですね。

会場2:ありがとうございます。

会場3:楽しい講演ありがとうございました。すごい唐突なんですけれども、建築学生とかにもし知っておいて欲しいとか、これからの学生に学んで欲しいとか、見て欲しい、知って欲しいとか、そういう思うこととかあれば是非言っていただきたいなと思うんですれども、ありますでしょうか。

手塚:みなさんご存知の通り今ね、デザインにいくひとがすごく減っているんですけれども、とんでもない勘違いだと思うんですよね。結局、ものをつくるっていうのはいろんな形で関わる人がいると思うんですけれども、やっぱり設計者の力ってものすごく大きいんですよね。それをつくることによって世の中をものすごい力で変えることができるんです。例えばニューヨークの市場でも頑張っても4年しか人気ないんですよ。あとはね、建築家の設計したものっていうのは、「ふじようちえん」だってもう10年なろうとしてますけど、すごい長いスパンでインパクトを与え続けるんですよ。この力ってすごいんですよね。たぶんね、政治家になるよりも建築家になった方がインパクト与えられるんじゃないかと。そういう意味でね、皆さんにとにかく、建築家って素晴らしい職業だっていうのを知ってもらいたい。多分うちの事務所に来ている人間は建築家の素晴らしさって知っていると思います。でき上がるとね、みんなで泊まりに行ったり遊びに行ったりとかするんですね。例えば、さっき見せた教会とかは教会の牧師さんが、でき上がったらみんなで来てくださいっていうんで、みんなで、総勢インターンまで入れると30人で押しかけて。全員で布団敷いて寝て、みんなでパーティして帰ったりとか。毎年、田んぼの中をドミノハウスのお宅に行って、そこで、ものすごく楽しく時間を過ごして一泊泊めてもらって。みんなでぎゅうぎゅうに泊めてもらって翌日電車走ったりするんですけどね。とにかく、建築が楽しいもんだっていうのを知ってもらいたい。
もう一つ大事なことは、やっぱり旅することだと思います。30歳までは何しててもいいですよ。とにかく30歳までは、お金のこととか心配しないでとにかく一所懸命自分の経験を増やしてください。アトリエに勤めて、その所長が、お前ケニア行って来いって言ったら行った方がいいですよ。そこで学ぶことってすごく多いですからね。とにかく、いろんなところでいろんな人と会ってください。でね、人生で必ず、ダメかなって思うような時があると思います。昔言われたんですけれども、倒れたら周りの石を掴んで立ち上がれって。コンぺでも失敗した時に、それがすごく役に立つんです、あとでね。人間の人生って無駄なものって一つもなくて。特に設計をしてると必ず役に立ちますから、それを思ってずっと仕事をしてください。
あのね、やめちゃダメだよ。すごい楽しいから。

平沼:うん。最後の質問、これ月並みでみんなにこう、かっこよく答えてもらってるんですけど。
建築家とはどんな職業ですか。

手塚:さっき答えたじゃないですか(笑)

全員:はははははは(笑)

手塚:人を幸せにする仕事だと。(笑)

平沼:あ、いやいや(笑)それでいいですか?

手塚:覚えてなかったでしょ(笑)

平沼:いやあ、ね(笑)。幸せですよね(笑)

AAF:手塚さん、芦澤さん、平沼さんありがとうございました。

手塚:はい、どうもありがとうございました。

芦澤:ありがとうございました。

平沼:ありがとうございました。

| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |