芦澤:卒業設計というのは、建築家にとって、ある種目指された原点が潜んでおると言われます。今、高松先生が見られて、どういうことを想われますか。

高松:そうですね。今見ても、ひょっとして これを超えられないんじゃないかな…という思いはありますね。そういう意味では22、3歳の頃の 何にも染まっていない 時の思考というのは、今でも僕にとっては非常に新鮮ですね。

芦澤:なるほど。

平沼:僕たちが学生の頃にみていた高松先生の作品集は、やっぱりドローイング。ロットリングをたくさん使われた、あのドローイングは圧倒的でしたし、大きな影響を受けていました。

高松: そうでしたか。(笑)実はさっきの図面の内 の1枚は、後輩たちが タバコを吸いながら見ていて焼け てしまいました。

芦澤:えー。(汗)

平沼:ハハハ。(汗) なるほど。そういう時代でしたか。

高松:ええ。そういう時代です。(笑)

芦澤:卒業設計は僕たちの時代ですと、後輩たちが手伝ったりしますけども、高松先生のときはどうでしたか?

高松:まぁ、そういう良き時代ではありませんでしたね。
ひとりでやるしかなかったですし、やっぱりライバルがいますから、家で隠れてやるしかなかった。

芦澤:えっ、見せないわけですか。

高松:全く見せないですね。

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