永山:そうですね。実は、私の祖父が建築をやっていて、谷口さんのお父様の研究室だったのですが、30歳前に亡くなってるんです。ですが、道具とか本とかはあって、原風景に、そういう建築っていうのがあって。

平沼:妹さんも、建築やられているんですよね。

永山:そうなんです。でも、建築やっているうちに、やっぱりアートをやりたいと言って、今ドイツに留学に行っています。

平沼:そうですか。青木事務所におられたんですか?

永山:そうなんです。私と時期をずらして。だから、長い事永山がいるみたいな感じで。あれ、みたいな。

平沼:あ、なるほど。

永山:しかも、全然血も繋がってないんですけど、その後永山君っていう方が入ってきて、どれだけ永山が沢山いるんだ、みたいな。

平沼:なるほど、なるほど。では、作品紹介をしてもらってもいいですか?

永山:はい。新しい作品から紹介をしようかなと思います。今年出来た住宅です。西麻布に建っていて、幅員4mのすごく細い道に面していて、ほとんど近所の人しか通らないような、そういう場所です。ここで、60歳以上の余生を過ごす、最期の住居として楽しく住みたいというご夫婦の家を建てました。それで、半分をプライベートな箱、半分をオープンなパブリックな箱っていう風に作っています。プライベートな方には寝室とか、浴室とか、ユーティリティが入っています。オープンな方は、リビングダイニング、あと書斎が入っています。それで、この通りに面して結構住宅がびっしり建っているんですが、何となくこの通りに対して、この家の透明なパブリックなスペースが、ちょっと抜けたような感じに見えるかなぁと。通りの抜けみたいなものが出来ているので、この住宅はすごくオープンであり、道に対して開くような、そういう場所になっています。室内から見ると、向かい側が大きな白い壁で、そこに植栽が生えていたんですね。そこも含めて庭っぽく、見せちゃおうみたいな、この通りごと、中に引き込むようにしています。こんな感じで階段があって、この上がリビング、その上が書斎みたいになっています。それで、階段がかなり急で、割と華奢な感じですけど、実はエレベーターがあって、この夫婦はほとんどエレベーターで移動しています。階段は付いていればいいからみたいな感じで、装飾的にしてほしいと。ちょっと外のような空間で、まるで隣の家の塀に階段がくっついているような、イメージです。これが2階からの方ですね。書斎からは、自分の家を客観視するような、外側から見るような視点になっています。将来的に娘さんがこの家を引き継いだ時には、ここに床を足して、また面積を増やせるように、っていう事も考えています。奥様がピアノの先生なのですが、ここでピアノを弾くと音が良いみたいで、すごく喜ばれていました。あと、特徴としては、ここがすごく日射が入ってくるので、ちょっと新技術ですけど、自動で調光できる特殊なガラスを使用しました。ANAの飛行機の窓などに、採用されていて、付けていくと、どんどん黒くなって99%位遮光できるものを、日本で初めて住宅で採用したという。ここで熱環境をコントロールして、後はすごく縦型の空間なので、煙突効果を使って、空気を流すように一つダクトを通して上手く空気を循環させながら、暑さを逃がしていく。最近暑くなってきても問題視する連絡がないので、大丈夫かなと思っているんですが、今ちょっと経過を見守っているところですね。夜は、本当に細い家にちょっと外側がくっついているような感じになっています。周りには、反対側の六本木ヒルズも見えるんですけど、屋上に夕涼みに出たいというので、出られる場所にしています。

>>続きへ


| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | NEXT