芦澤:ちょっとお聞きしたいのが、住宅される時とテナントビルをされる時、商業される時と、いろいろなプログラムをされると思うんですけど、そのプログラムごとに、プロジェクト…プロジェクトというかプログラムですかね…に対して、住宅だったらこんなスタンスとか、住宅だったら大体これぐらいのところまでをテーマにする、飛距離みたいなものを少し解説してもらえると。

永山:そうですね、住宅の場合はやっぱり、その人の暮らし方とか、家族の関係性とか、そういうことをきちんと整理して、将来に渡ってこの家で住んだことが子供にとってもすごく楽しい思い出になるようにとか、長い期間で色々関係性が変わった時にも対応できるようにだとか、きちんと家族のあり方に向き合いたいなと思っているところはあります。

芦澤:あまり過激にはやらないというか、抑えられているということですか?

永山:そうですね、あまり過激にはしないんですけど、結構いろんな要望が出てくるじゃないですか。それに対して全部答えるというよりは、新しい暮らし方をみんなで考えていこうみたいなことになると思うので、西麻布の住宅とかもこんなオープンで大丈夫ですか?みたいな感じだったんですけど、最後に住む家だし、なるべくパンチのある家がいいみたいな感じだったので、そこまで提案して受け入れられたんです。でも出来上がってからも、こんなオープンな家住めるかしらみたいなって言われてたんですけど、歳取るとダラッとしちゃうじゃないですか。だから緊張感があってピリッとしていられて、すごく老後にいいわ、みたいなことを言われたりとかして。

芦澤:なるほど。見られているってことね。

永山:新しい暮らし方のイメージを一緒に作るっていうのが結構良いのかな?住宅の場合は。

芦澤:他はどうですか?テナントビルとか。

永山:テナントビルは今も手がけているんですけど、プログラムがないといえばないので、どこにテーマを見出すか難しいんですけれど、その明るい窓で結構明確になったのは、さっき言ったように、ほとんどの都市の風景を構成しているものって意外とテナントビルだったりするじゃないですか。普通の雑居ビルみたいなのが並んでいる。こんなに私たちが接している風景の中で居場所を占めているテナントビル、みたいな。でもそのファサードって意外と意識されていない。ある意味、ファサードって道のインテリアだと思ったんですね。道にとって、その在り方ってすごく重要だなと。もちろん、テナントの本体にとっても重要なんですけど、道にとって重要だなって思った時に、道に対してどう建っているのかっていう、立ち居振る舞いみたいなものをテーマにしていくとテナントビルってすごくやりがいがあるし、何もないプログラムでも都市にとっては絶対に不可欠なプログラムなので、扱うテーマとしては凄く面白いなって思っているので、今すごく積極的にテナントビルをやっている感じです。

芦澤:なるほどなるほど。全然話変わるんですけど、永山さんて、青木さん以外で好きな建築家とか、影響受けた建築家とかいるんですか?

永山:ヘルツウォークがファサードを問題にしていたのが、ちょうど大学生の時で、素材や表層で建築を語っているという事に衝撃的で、そこは原体験としてある気がします。

芦澤:なるほど。

平沼:永山さん、あとね、15分くらいなんですけど。

永山:ああ、そうなんですね。

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