平沼:ありがとうございます。時間が押しているので会場からちょっと質問をいいですか?

司会:2名ほどお願いいたします。

会場1:大変、貴重なお話ありがとうございました。建築の意匠設計をやっていますカミヒサと言います。今日、お話がでた奈良博のことでちょっとお伺いしたいのですが、。奈良博のその展示室の照明計画、桜鼠色を使われたというようなことで、非常に特殊な空間だと思います。平等院の鳳翔館なんていうのは従来型のわりと暗い中で、スポットライトでもって、仏像や木造彫刻を展示するという空間なんですが、すごく特徴的に、全体を非常に柔らかい光で、今までないようなかたちの展示をしてされていると思うのですが、照明計画の話を詳しく伺いたいです。

栗生:はい。照明計画というよりも、まずは明るくしてくださいと、学芸員の方から言われまして。私もどこのお寺に行っても仏像というのは暗がりにあることによって、有難さが増すんだみたいな話があるもんですから、ちょっとどうなのかなぁとも思いましたけれども、やはりできるだけ、お年寄りの方にも細部をよく見ていただきたいということでしたので、いくつか実験しました。どういう色が背景に合うのか、ピンクというのは非常に危険で。いろんな試しの色を出して、仏像の背景に置いて、光を当ててみて比較検討しました。光のほうは、展示の照明を専門にやっている方に、頼んでるんですね。それも現場でいろいろ実験して、これならば品格もあり、かつ、仏様の尊さもちゃんと演出できるなぁ、ということで決めました。

会場1:あまりメリハリのない照明計画になっていると思うのですけど、それでその学芸員の方は良しとされてたんですか?

栗生:はい、良かったということを言われてましたので、安心しましたけれどもね。

会場1:わかりました。ありがとうございました。

平沼:ありがとうございます。もう一方、どうぞ。

会場2:すみません。大阪で学生をしている山田と申します。貴重なご講演ありがとうございます。作品をいろいろ見させていただきましたが、やっぱり文化的な建築の近くで建てられているものが多いですが、近代的な形が見られたと思います。その文化的な建築と近代的な建築との繋がりをどう思っておられるのか、ちょっとお伺いしたいと思います。

栗生:できるだけシンプルにものをつくっていきたいなぁというのが原則です。余分なことをできるだけしないといいますか、それで過去の遺産みたいなものを引き立てていく。やはり、建築の役割というのは、既存のものと新しいものをどういう風に繋げていくか、その時に現代的な技術を使いながら、過去のものをちゃんとリスペクトしていく、というようなことが、姿勢としては必要なんだろうと思っています。たまたま今日持ってきたものはそういうものですけど、商業施設は商業施設のやり方、マナーがありますし、そういうものもたくさんやってますけれどもね。住宅であれば住宅のやり方。それもオーナーとの一種のコラボレーションによってものが決まってくということなんですけれどもね。

平沼:最後の質問なんですけれど。

栗生:はい、ははは。もう一個、適当に。

平沼:栗生さん、これからの建築家、これぐらいの年代の、どうしていけばいいですかね?はははは。

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