平沼:当時のSDレビュー展を見に行った当時、「この表現はなんだろう?」と思っていたのを思い出していました。よい質問をありがとうございます。

質問者2:今日のスライド写真を拝見して気になったのが、照明についての考え方です。一個一個、例えば面光源を使うとかダウンライトを使うとか、照明機器の選び方です。ダウンライトがガラスに映りこんでいたりするような写真もすごくかっこいいなと思いました。配置の決定の仕方や、どのような照明のスタディを経て、プランニングをされるのかということを教えていただきたいです。

小川:プランをする時には、あまり考えていないのですよ。逆にプランした中で図面を見ながらその空間をイメージしていたら、「ここに照明(光)があったらいい」と決めていく感じで・・・。建築家は皆さん、一緒ですよね?

平沼:うんうん、やはり建築はインテリアデザインと違って、自然との対話をするあまり、プランを考えるときは、日射だったり自然光との関係性を重視しますから、人工照明は考えないですよね。

小川:ですよね。すみません。

質問者2:ありがとうございます。

質問者3:小川先生の作品には、柱や梁、壁が非常に少ないと思ったのですが、構造計画の時点で工夫されてきた裏側をぜひ教えていただきたいです。

小川:はい。途中にあったBARBUSという建物、あれは梁もないんですよね。断面とか、建築の学生だったら大学の先生には怒られるような図面ですね。実際はできますが。あと別の、違う話かもしれないですけど、前にEsquireという雑誌で、10人の建築家が住宅をばーっと発表していて、平面図が1つのページで同じスケールで並べてあって、うちのスタッフが、うちのプランは間仕切りが無いんですよ、ワンルームで。だから安いはずですよね、って言って(笑)。壁が一杯あると値段が高いじゃないですか。安く出来ていますね。

芦澤:確かに、先程プロダクトって仰っていましたけど、いわゆる建築の従来の柱があって梁があってという概念で構造計画をなされていないんですね。

小川:要らないですね。学生にも言いたいですね。建築の大学の学生とか、600の柱7,8mピッチでやりなさいという計画をするじゃないですか。うちの学生は可哀想ですけれど、作りたいものを作れと。そうしたら、構造、施工、材料の人が考えてくれると。要は、医学と一緒で、新しいものを作りたいがために、新しい構造、施工方法も生まれるので、作りたいものを考えるという方が大事かなと思います。だから建築的な概念で拘束されない方がいい。芦澤さんは、私と近いですよね。この前新人戦で選んだのを見ると、芦澤さんと私は結構近いなと思って。

芦澤:何も考えていなかったのですけどね。

会場:わはは。(爆笑)

質問者4:本日は貴重なお話ありがとうございました。建物の内から外を切り取ったり、壁を作ったりというのがすごく多かったと思ったんですが、逆に外側から見た時の建物の外観とかを意識されて作ることってありますか?内側から外を借景のように切り取るところが凄いなぁと、シンプルに感じたんですけれども、逆から見たらどうかという、感想をぜひお聞かせください。

小川:敷地に行って、見る風景があるとそれを大事にして進めるんですけれども、街のど真ん中とかだと、普通に作って、隣の家がばーっと見えるよりは、自分の空間、自分の敷地ですので、最大限空間を自分のために、使う方がいいかなと思っています。外は静かに。目立つかもしれないけどね。だからあまり逆になにもしないですよね、外はね。あんまり考えていないということですね(笑)。

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