2 1 7[ nie - ichi - nana ] 第14回

日 時 : 2012年 10月 10日 PM 7:00〜
会 場 : 本町ガーデンシティ 1階ホール

ゲスト : 坂 茂
対 談 : 芦澤竜一 平沼孝啓

AAF:それでは皆様お待ちかねのことと思います。これから、217 ・2012年度、第4回目を始めさせていただきます。本日司会をさせていただきます、AAFの田中と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

平沼:こんにちは、平沼です。

芦澤:こんにちは。芦澤です。

平沼:実は今、坂さんがフランスから直接駆けつけてくださって、ちょうど会場に着いたところです。飛行機が遅延したので、今日の217はどれくらい遅れてはじまるのかなぁ・・・と、皆さんをお待たせしてしまいましたが、なんとか少し遅れたくらいで始めさせていただくことができます。
今日はどうぞよろしくお願いいたします。

AAF:それでは、皆様よくご存知かと思われますが、まず坂茂さんのプロフィールを、簡単に説明させて頂きます。建築家、坂茂さん。1957年東京生まれ。クーパー・ユニオンを卒業。82年、磯崎新アトリエ勤務。そして85年には坂茂建築設計を設立され、95年より国連難民高等弁務官事務所コンサルタントと同時に、NGO VANを設立されました。主な作品に、「ニコラス・ジー・ハイエックセンター」や「ポンピドーセンターメス」そして「おながわコンテナ テンポラリー ハウジング」などがあります。そして現在は、京都造形芸術大学で教授をされておられます。それでは、早速にご登場していただきます。皆様、拍手でお迎えください。

坂 :今日は遅くなってすみません。坂です。どうぞよろしくお願いします。

芦澤:よろしくお願いします。

坂 :早速ですが、もし面白かったらぜひ、笑って下さい。

平沼:はい。(笑)

坂 :先日ノーベル賞をとった山中教授が、講演会をやる時には必ず一回は笑いを取るそうなのですが、僕はだいたい一回の講演でいつも三回くらい笑いを取っているのですね。だから、ノーベル賞の先生の講演よりも面白いはずなのです。でも、世界中で英語での講演会をやっていて、どこの国でも必ず笑いを取れるのですが、なぜか日本だけは笑ってくれないんです。日本人は…なぜか。 中山先生に依ると、関西で受けたジョークはアメリカでウケて、関東で受けたジョークは英国でウケるらしいんです。だからどうも世界で受けたジョークは、中々日本では受けないみたいなんですが、是非とも面白かったら笑って下さい。

平沼:あっ、はい。(笑)

坂 :今日は、僕の作品の初期のものから最近のものまで、それから災害支援のプロジェクトもご紹介します。まずなぜそういう災害支援をしたか、し始めたかって言うとね、建築の仕事を始めてから、建築家のプロフェッションというか、我々の仕事に随分がっかりしたんですね。なぜかというと、我々の仕事ってほとんど特権階級のための仕事なんですね。まぁ、これは歴史的に見てもそうですが、貴族の仕事をしたり、宗教団体の教会を作ったり。今でも、お金持ちの家を作ったり、大きなモニュメントを作ったり。つまり、お金や権力という目に見えないものを世間に知らしめるために、権力者は建築家を雇ってモニュメントを作って、お金や権力のような目に見えないものを知らしめる。そういう仕事を僕らは普段やっているわけです。当然それによって素晴らしい財産が町に残ったり、素晴らしい町ができたりするのですが、どうもそれだけじゃ残念だなと…もう少し一般大衆、あるいは家を失った人達の為の何かの仕事ができないかなと、ずっと思っていました。そんな時に災害が起こって、家を失う人が増えて、そこで災害支援の仕事を初めてやって、ボランティアを始めました。

ただ、自然災害というのは多分もう自然災害ではないと思うのです。例えば地震は、人為的な災害と言っていいんじゃないかな。地震自体で人が死ぬ訳ではなく、建物が壊れて人が死ぬ訳ですよね。それはもう間接的にも建築家の責任なわけです。ところが、家を失った人の為の仮設住宅にしても、そこには建築家の姿がなく、政府が業者さんにお願いして住宅を作る。でも、建築家が携われば、もう少し良いものができるんじゃないかな、そういうふうに思いまして、それから、被災地に足をむけるようになったんです。


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