芦澤:これは、高崎さんが学生時代の課題ですか。

高崎:学生です。19歳のですね。私は子供たちを夏休み冬休み期間中、建築のワークショップを通して、もう30年近く教えていています。私は幼児教育というものがとても重要だと思っています。大人が勉強しても大人は死ぬだけですから、今の子供たちの感性を引出し良くしてあげたいなと思っています。これは、こどもの家という、丸い地球を子供が抱きかかえています。開口部は子供の笑顔になっています。例えば子供が笑っている顔、人間の喜怒哀楽がすべてこの中身で表現されています。カラフルなガラスが入っていて、そこで色彩体験をしながら、建築空間を楽しみます。屋上は竜の庭で、登れます。建築で遊ぼうというテーマです。ここで日向ぼっこをしてほしいなという気持ちを込めています。これは幼稚園とか保育園とか、子供のための家です。

芦澤:こちらは、何歳ぐらいの時に考えられたものですか。

高崎:これは、20歳を過ぎたころぐらいです。

芦澤:そのころから子供の教育のことを考えられていたのですね。

高崎:大人も子供も、年齢差に関係なく基本的にはそう変わらないです。魂のレベルでは、大人も子供もそう変わらないので、子供の方がおもしろいなと思います。私は自然豊かなところで生まれたので、自然と関係した自分の言語を作ろうと思いました。僕の場合で言うと、物人言語と言いますが、大地、水、火、風、空、天、それを建築言語に置き換えることに興味をもちました。火のテーマや土のテーマ、風のテーマなど自分たちの建築言語をずっと模索していました。その物人言語の組み合わせによって、あらゆる建築のパターンが造れます。いわゆる武道で言う型をつくっていて、その型と火の組み合わせがこうなる、そういう建築言語を作っています。これは鹿児島県に提示したものです。300年400年かけてこの天地人という、この建築物を98箇所につくっていくのです。天は鹿児島における神話、宗教など宇宙に対する意識で、地というのは自分たちが住んでいる大地です。人というのはそこに住む人たちです。そうして数百年すると鹿児島上空に現在の地上絵が出現することとなります。曲面のソーラーパネルや、あるいは水と光を集める場所を提案しました。ここは水を溜め、自給自足し、自然の恵みをエネルギーに変換できる持続可能な建築物をつくる事で、この潮流を市町村に提言しながら、1つ1つ作っていこうというプロジェクトです。現実にいくつか建っています。この天地人プロジェクトの興味深いところは、どこの地域においても土地に神話がありますが、そういう聖地と建築をどう位置づけるかということです。建築をやる側の醍醐味といいますか、そういう面白さがあるかもしれません。

平沼:いくつか質問させてください。今の均一化された大学教育を受けて、同じようなことを同じような人たちと同じような事を同じ価値だと思わされる。崎さんは自由ですよね。

芦澤:そうですね。大学教育は先生にとってはどうでしょうか。まずご自身が受けられた教育とは、どうだったのでしょうか。

高崎:ヨーロッパに行って最初に驚いたのは、学校では、日本庭園は有機的でヨーロッパ庭園は幾何学的といって教えますが、それはほとんどでたらめで、日本人の小さな偏見にすぎません。基本的には近代の日本、アジア、イスラムは、西ヨーロッパの影響を強く受けていますから、そこに問題点が集約しています。だから僕等の学生時代も、例えば、コルビジェとかもううんざりだと思っていました。どういう事を世界に世界言語として普遍化できるかという視点、考え方をもっていくと、すばらしい物がたくさん生まれるのではないかなと思います。歴史も日本は偏っています。建築の計画でも、もう少し視点を広げたらいいのではないかと個人的には思います。

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