樋口:これ中だけど、半外部の内部化って、わざわざ半外部って呼ぶの。この辺が建築家っぽい、嫌だよね。これ学校。これ外廊下、半外部だけど。この頃文部省はね、外廊下に補助金を出さなかったの。次の年に文部省に呼ばれてね、前の年まで文部省の門も入れてくんなかったのに講師で呼ばれてね、これを認められた。街で何をやったか。町長がたった一言、「我々の学校は我々がつくる。半外部のお金は町が出そう。」それでできたの。入口がいっぱいある。余分なことばっかしてる。2クラスに一つ入り口があるのかな。もう一つ設計のコツ。出入り口があればあるほど名建築、これはきまってんの、昔から。

平沼:多いほうがいいんですね。

樋口:もちろん。できたら全部出入口。

会場:(笑)

芦澤:全部繋がっていくってことですね。

樋口:さっき言った柱の間に壁がなきゃ全部出入り口でしょ。それが一番の名建築。

芦澤:セキュリティとかは気にしないということですかね。

樋口:セキュリティする…だって守るべきものがないでしょ。あなた、中空っぽにしたら。

芦澤:そうですね。

樋口:しょうがないじゃない。セコムがいらない。守ってるようなオリンピックはろくでもない。外の教室、半外部とかいうけど、やっぱりこういう教室には絶対かなわない。

平沼:いいですね。

樋口:ね。素敵でしょ。難民キャンプの青空教室に先生が黒板で教えててさ、それで生徒が木の下でさ。
これ、嫌いなものを書いたの、超高層。超高層っていうのは一番貧しい建築の死。わかるよね。ブロイラーより酷い、こんな狭いとこに人間を閉じ込めて、要するに貧乏丸出しというかね、あぁいうとこに事務所を構えるようになったら人間ももうおしまい。ブロイラーより酷いことになる。

平沼:はい、いくつか質問させてください。僕ね、有村先生とか重村先生がお越しくださってるの知らなくって、憧れてたんですね。

樋口:憧れてたのか…小さい声でいうなよ、大きい声で言って。

平沼:いやぁはははは、でもなかなか、樋口先生ももちろんそうなんですけど。でね、象設計集団ってどうやって増殖していったんですか。

樋口:そんなことはわかんないよー。

平沼:勝手にですか。

樋口:さっき言ったように、場所と時間があって、最初の頃なんかだいたい誰が所員か誰が所員じゃないか全然わからないよ。

平沼:あぁそんな感じですか。

樋口:重村くんなんか酷いもんで、君のこれからの生活に不安はないとか言ってもろ騙されて、少し考えると不安しかないんだから。

芦澤:ははは。

樋口:騙されるのが好きなんだよね。そういう人が集まったんじゃないか。

平沼:なるほどねぇ。僕ちょうど90年代が学生時代です。象設計集団が盛り上がっていたところで、学校に行ってたので、もう新建築はじめ建築雑誌をひろげれば、毎月のように象設計集団だったり、重村先生がやられている「いるか設計集団」。

樋口:聞こえないんじゃないの。聞こえんのそれ。

平沼:聞こえる、聞こえてるはず。

樋口:こうやってるから。

平沼:はい。あぁもう行きますか。あぁもういいんですか。

会場:(笑)

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