芦澤:色々じゃあ植物を置かれたりっていうのが。

山本:みんなで置いたりとか。この隣の家との間も、これ共用部なんですけどね。これどっちが置いたか分かりませんけども。こういうオーニングみたいなのをつけて、それで下を木のデッキにしたりとかして、お店みたいな感じになっています。こうやってコーヒーを自由にみんな飲みに来るような場所になっていて。お店、お金はとってないんだと思いますけどね、みんなが集まる場所になっています。これは、1階のオープンなエントランスですね。この人たちはホワイエみたいなゲストルームみたいにして使っていますね。お酒飲んだりする場所にしている。

芦澤:プライバシーに対してはどうですか?

山本:ものすごく強いですよ。「日本人なら住めるでしょうけど韓国人は無理です」って。日本人はもっと無理です。こんな家が日本にあると思ったんですね。日本スタイルだと思ったらしいんです。でも、いざ住み始めると、全然今までの住み方とは違ってね。みんなで一緒にバーベキューやったりとか、すごく仲良くなるって言っていました。ただ隣り合って仲良くなる訳じゃなくて、ちょっと離れたクラスターの人とか、いろんな関係ができるらしいんですよ。必ずしも隣り合うだけじゃなくて、人が集まっているのが外から見えるのが、やっぱり全体にとってはいいんだろうと思うんですよね。

芦澤:クラスターでコミュニティがあるっていう感じでもなく。

山本:それは嘘だと思うんですよね。隣の人とだけ仲良くなる訳ないですもんね。
これのもう少し大きいタイプをつくりました。これは去年できたんですけど、ガンナムスタイルっていう歌のガンナムです。ここは新興開発地なんです。低所得者たちの住宅で、一番ちっちゃいユニットが24uぐらいですね。21uだったかな。単身者用、高齢者用で。

芦澤:高齢者用で。

山本:いろんな貸し方をしていて、ずっと住んで、10年ぐらいたってどうしますって聞いて、買いたいとしたら、10年間払った家賃を頭金にできるんです。それで買いたい人は買える。韓国は、そういう、お金があんまり無くても住めるようなシステムを低所得者向けにたくさんつくっているんですよ。先ほどのはかなりお金を持っている人たちの、こっちはあまりお金がない人たちの。これは非常にローコストな住宅ですね。これはですね、ストライプ状になっていますけども4階建てが低層で、高いのが10何階建てか忘れちゃいました。その真ん中に駐車場がありますよね。そこはパブリックパスと呼んでいて、駐車場があるところです。建物の下にも駐車場があります。真ん中、その上のところは、コモンフィールドと呼んでいまして、ペデストリアンで車は入って来られないですね。

平沼:なるほど。

山本:ブリッジが各コモンフィールドをつないでいるでしょ。パブリックパスを超えて、隣のコモンフィールドに行けるようになっているんですよね。それで、玄関がコモンフィールドに面してお互い向かい合っているんです。真ん中が庭になっていて、そこに畑があったりとか、っていう使い方を意図したんですね。ブリッジがあって、こっちのコモンフィールドがあって、ここがパブリックパスって言っているところで。こっち側に…首が痛くなってきちゃった。コモンフィールドがあって。パブリックパスとコモンフィールドのストライプになっているってことですね。そうやってコモンフィールドのところはお互いに向かい合うようにつくられて、玄関ドアもガラス張りにしたんですけど。コモンフィールドの色によって、黄色、青、ピンクっていうような色で分けていますね。屋上は畑になっています。それでみんな自由に畑をつくって。向こう側のコモンフィールドにブリッジで渡って行けるようになっているんですよね。これが向かい合ったところですね。見て分かるように、ガラス張りの玄関です。これは韓国の公団がつくったんですが、最初はこれでいいって話だったんですが、韓国のネットで「こんなのプライバシーがないじゃないか」って問題になり始めたんですよ。そしたら公団側がちょっと慌てて、「ここにシートを貼ろう」って言い出してね。それでかなり抵抗したんだけども、やっぱりシートを貼ることになって。ずっと後になって、いざシートを貼るときに、もう一度その公団の団長に会って、本当にシートを貼っていいかどうかっていうのをガラス張りができてから見てくれって言ったんです。とりあえずシートを貼るのはちょっと後回しにして、これができ上がったのをみんなで見たんですよ、シートを貼った状態とシート貼らない状態と。中に入ったら、透明の方が全然いいんですよね、外見えるし。公団の人たちも「これだったらいいんじゃないの」って話になって。その代わり後ろにブラインドつけようってなって。ちょっと高いんだけれども、ブラインドをつけることで、透明ガラスに結果的になったんですよね。そういう意味では、韓国の人たちっていうのは、ある原理の中で話していくっていうのができる人たちなんだなと思いましたね。日本のある県でこれやったら追い出されちゃったんですよ。

平沼:あーそうですか。笑

芦澤:ええ。ははは。

山本:もうお前こんなことやるなって言われて、監修っていう名前になって、監修もほとんどやれないような事になって、結局、ローカルの建築家ともケンカになって、追い出されちゃったんですよね。群馬県の元総社ってとこですね。後でカットしますかね。(笑)これはその、低層部分ですね。こうやってお互いになんとなく見えるようで見えないように向き合っている。

芦澤:廊下も幅が変わっているんですね

山本:出っ張ったり引っ込んだり。

平沼:距離感ですよね。

山本:そうですね。7、8mぐらいしかないんですよ。こういうパネルがあったりするので、そんなに気にならないと思いますね。

平沼:そうですね。あんまり遠すぎてもなんか気持ち悪いし、近すぎたら嫌だし。難しいとこですね。

山本:そうですね。ちょうどこんなもんかな。昔つくった保田窪団地っていうのが。中庭が24mぐらいですね。

芦澤:行きました。

山本:あそこはもっと、小さいこじんまりした感じにしたいなと。

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