山本:これはチューリッヒで今やっているプロジェクトで、来年着工するんですけども、スイスの飛行場の、このピンクっぽいところが建物です。サイトエリアは37,000 uで、270,000 uっていうのは延べ床面積ですね。左側に飛行場のエプロンが見えていますけれども、飛行機もちょっと見えていますよね?

平沼:うん、見えています。

山本:それで、右のほうにクローテン市っていう街があって、真ん中の丸くなっているところが、飛行場にアクセスする車の全体のラウンドアバウトみたいになっているんですけどね。その緑のところが丘になっていて、大きな公園になってます。丘をめぐって、バナナみたいな形になっている建物ですね。その丘に面しては、ちっちゃい建物が出来ているような風景で、飛行場に対しては巨大な一つの建築みたいになるといいかなっていうのがこの建築のつくられ方ですね。手前にターミナルがあって、パーキングがあって。手前側の飛行場とは地下通路で繋がります。このファサードがですね、オーバーハングドファサード。道路が前にあって、ファサードが道路にオーバーハンギングしているんですよ。それから公園側は小さな建物が出来ている。街みたいな、ちっちゃい建物で構成されているような風景が公園側ですね。真ん中にですね、Gasse and Platzって書いてありますが、Gasseって路地のことです。ヨーロッパの中世都市に行くと、路地がいっぱいあるでしょ?あれをドイツ語でGasseって言うんですけども。Platzは小さな広場ですよね。中世都市みたいにGasseとPlatzで、真ん中の黄色く塗られたところに路地が出来ているんですよね。空港側から見るとこういう大きな壁になっています。これは、コンペの時につくった模型で、今はかなり変わっています。プログラムはですね、Health & Beautyっていうのは、ここはスイスの大学病院が入ることになりました。ここで健康とか美容とかそういうもののためのファシリティですね。Education & Knowledgeっていうのは、会議室だとか、文化施設みたいなものがここに入ってきて、ここで国際会議みたいなのをやるための場所ですね。そして、Culture & Eventsっていうのは、1500人入る大きなホールがあって、それを中心としたイベントのための場所です。Brands & Dialogueっていうのは、ブランドショップですね。ルイ・ヴィトンとか、いろんなブランドショップが、まあ飛行場の近くなので出てきます。あのカウンセラーサービスっていうのはコンサルタントなんですけども、銀行とか、保険会社とか、投資会社とかそういうところが入ってくる場所ですね。それからあとホテルが2つ入っていまして、ハイアットリージェンシーと、ハイアットプレイスっていう、星の数がちょっと違うタイプが入ってきます。他にも、飛行場のそばなのでいろんな会社のヘッドクォーターが入ってくるだろうと。これ全部合わせて270,000 uっていう巨大な施設です。薄いブルーのところが、ホテルですね。それで、緑色のところがGasseに面してブランドショップが並んでいます。それから青いところは、ヘッドクォーター。これは今横浜でつくっている100分の一の模型です。これをスイスと横浜で2つつくっているんです。これだけ道路にオーバーハンギングしているんですよ。なるべく透明感のあるような、つるんとしたものができないかなって思って。道路の上にオーバーハンギングしてるので、氷柱があったら大変だっていうことで、できるだけつるんつるんしたものじゃないと危ないって。こういうCCFっていうブラインドが入り込んでいるんですね。これはいろんなちっちゃい建物群でできているような、公園側ですね。結構テラスがあるので、レストランとか置くと公園に面してできてくると思います。このGasseは高さが37、38mで幅が8mですから、ものすごい深い井戸底みたいな感じの路地ですね。これはプレキャストコンクリートでつくるんですけれども、上に行くに従って柱の数が多くなるっていう、ちょっと変わった構造なんですけどもね。矛盾していますよね。

芦澤:矛盾していますね。(笑)

山本:(笑)
柱の見付が20cmしかないんですよ。1番下は2.7mスパンなんだけど、20cmの柱でサポートしているんですよ。まあ、地震がないからね。

芦澤:奥行きも一緒ですか?

山本:奥行きは変わっています。変わっている方が広い。60cmぐらいになって。上に行くに従って20cmかけて。

芦澤:薄くして?

山本:はい。こうやってブランドショップは4階吹き抜けで貸すんですよ。下の方。ブランドはそれを借りて自分で床をつくるんです。そして、こういう風にブランドごとのファサードができてくる。街の中のブランドショップみたいになるわけですよね。そうして、強風の時に雨が入ってきちゃいますから、ブランドショップの上にガラスの屋根が入っているんですけど。これはGasseって呼んでいるところですね。

芦澤:ここは完全に外部ですか?

山本:外部です。屋根はありますけれども、完全な外部。これは最初のアイデアの時なのでドアがありますけども、今はドアも全くないです。

平沼:空港という感じじゃなくて、もう都市計画みたいな具合ですね。

芦澤:街ですよね。

山本:街みたいですね。このドアは今はもうなくって、そのままずっと行けちゃうんですけどね、こうやって坂で1階分上がっていくんですよ。いろんなところにちっちゃいプラザがあって。4階分が一つのお店なので、全体が本当に街みたいな感じになると思いますね。そこで、さっきの自然の丘の方に出てくるっていう。

芦澤:サッシュは、トリプルですか?

山本:トリプルどころかね…

芦澤:もっとですね、これ。

平沼:本当だ。

山本:CGFっていって、ここが、1、2、3枚あるんです。間に空気層が2つです。これはトリプル、これは2枚重ね。3枚重ね。間に20cmぐらいの隙間があって、ここにブラインドが入っているんです。ブラインドは汚れないように、フィルターで綺麗になった空気をいつもここに送り込んでいるんです。いつも正圧になっているんです。だから埃が入ってこない。これはもう50年間掃除しなくていいって。

芦澤:すごい高そうですねー。

山本:はい。これは一番狭いところですね。全体に一番外はアルミで今つくろうと思っているんですけれども。上に行くに従って細くなるような構造になっています。これは150人入るコンベンションホールで、ほぼ同じような構造になっています。

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