質問者2:もうひとつ教えてください。AIのことに関して結構、いろんな方々の話しを聞いていますが、これからの時代の若者たちが、建築家になる前に失業する可能性があると言われます。

平沼:失業?

質問者2:そうです。仕事に就く前に、失う可能性があると言われます。

平沼:(笑)建築家になる前に?

質問者2:はい。AIはどんどん開発され進化をします。そして人間がやるべきことはどんどん減ってしまうという傾向になります。

平沼:それはたとえば、人の身体の状態をAIが診断するような状況が進み、健康診断医師のような方がいなくなるということだったり、法令を記憶したAIが解釈を生み、AI裁判で裁かれる。つまり現在の知識職とされている方たちの職業が失われるということですか? それとも、現在のCADオペや、書き手となる人たちが、AIに代わることですか?

質問者2:はい。設計図面を書く人たちが、いつまでもAIは、人間の代わりになれないということで、安心していてもよろしいものでしょうか。

安藤:建築家になるのと図面を書くのが一緒の価値ではなくなるのでしょう。図面を書きながら建築を覚えてきた方法や図面での発注の仕方が、その頃に変わるのだと思います。本を読むことを薦めたのは、図面を書くスピードを上げるためではなくて、クライアント、施工する人、そして建築を利用し維持していく「人間」と共有した正しさだったり、新しさを導くための回答を持つためです。AIが判断したから、その通りにしてください。と言われても、人は建築を建てられません。人間はそれぞれ皆、学習した分野も人生経験、知的能力が違うわけですよね。それを個性という人もいます。その個性があった上で、AIが自分の体に入ってくるわけではないですし、その機械を使いこなすためには、自分自身に相当、知的能力がないと難しいですね。つまりAIが人間の代わりになれないというより、補う付き合い方だと私は思います。そして建築家は、まとめ役です。複雑で微妙な状況をまとめていく力です。人もそうだし、金もそうだし、環境のことも山積みです。部位や部分にAIが果たす役割は、近い未来に現れると思いますが、まとめるためには人間の力がまだまだ、いるじゃないですか。
(微笑みながら平沼さんをみて、ねぇと安藤さん。)

平沼:はい。(笑)

安藤:今日のレクチャーだって、AIがここに座り「ワレワレハ」と回答を話すのではあれば、人はきっと集まらない。(笑)

会場:(大笑)

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