芦澤:先生、事務所をされて、もう50年されてますよね。

安藤:50年。

芦澤:50年やってこられた秘訣なんてありますか。もしお分かりなら教えてください。

安藤:うーん。例えば夜の会食というのがないことですかね。結局、これが一番かもしれません。時々あっても、2か月に1回ぐらい。この会と同じくらい。あとは無い。これをマイペースにやろうと思ったら強くなければダメです。色々と言われますけど、それはそれ。自分は自分ですから。

芦澤:ありがとうございます。

平沼:独立してしまうと、自由業の方ほど、「クリエーターのペース」ってありますよね。規則性を重んじる建築家のペースっていうのもきっとあって、迎合したり応対する必要性が時にあっても、頻繁に行わない習慣もまた、継続するための秘訣なのかもしれません。

安藤:そういう風に考えたら、建築家もみんな、これからの可能性が高いですよ。自分のやっていく、立ち位置みたいなものでしょう。でも瞬発力のような断るネタと能力も要りますよ。今なら子供の図書館に寄付してくださいといいます。(笑) 

会場:(大笑)

安藤:いや、皆さんお互いに忙しいでしょう。何かしたいという希望もあるし、要望があったりするのにね。頻繁に夜の会食をしている場合じゃないでしょう。今日だけでも新聞が2社、雑誌やメディアが何社かきていましたが、同じような質問に同じような回答を何度もしないといけませんしねぇ。広めてもくれるし、その分、紙面の協力もしてあげたい。でも写真を撮りたいとか、もう写真要らないと言いながら、ずーっと取材に応じていますが、そんなことにも必死に向き合ってやっていると、人生は長く、まだ当分いくでしょう。

平沼:ぜひ長く、長く、いらしてください。

安藤:ほんとそうやね。この会場にいる人たちも、95歳まで生きることを考えて頑張らないとね。女性は必ずいきますよ。そう思えば、結構、がんばれる。

平沼:毎年、安藤さんがこられるこの年末には、勇気というのか、大きな励みをいただくことができています。そして今夜もまた、僕らも、会場の方たちも、もうずっと聞いていたいと思ってしまうのですが、会場施設の方に延長、延長、と指示が出ています。(笑) 今日は本当に、若い人が多く来られています。恐らくこの半数は、安藤さんのような建築家に成りたいと夢をもってきている人たちが多いと思いますし、半数は、安藤さんの仕事に、大変興味を持たれて聴きにこられているのだと思います。最後の質問ですが、建築家とはどんな職業ですか。

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