芦澤:
山崎さんには二つの悩みがあると聞きましたが。(笑)
山崎:
言っていいのかな、ここで。
芦澤:
言ってください、建築批判も。
山崎:
人口が減るということは生産年齢人口が減っているということですから、税制を改革しない限りは今のような国家予算では公共事業ができないということです。2006年に国土交通省が発表している白書で、このピンク色が新設です。これは社会資本整理というもので、いわゆる公共事業ですね。橋や道路、ダム、公共建築をつくるものです。自民党時代の白書ですけども、2020年にはもう、新しい新設の公共事業は0にしますと言い切ってしまっているんですね。維持管理費は黄緑色。作った以上は維持管理しなくてはいけないんですが、水色の部分は更新費です。トンネルのコンクリートが離れていますだとか橋ちょっとやばいですよとか、ここから先は通行止めですよっていうのが2022年以降です。だとすれば住宅の着工数も半分になりますから、年間60万戸の新築着工数になるということです。だから僕の悩みは、これは自分の悩みだと繰り返して言わないと喧嘩売っているのかと言われるんですが、僕自身が設計していたときの悩みは、人口は減るし2015年から世帯数が減ると言われている中で、まだつくらなければいけないのかなというのが一つの悩みでした。こんな時代に建築すごろくをしていていいのか。若手は、住宅つくって認められて、住宅が新建築に載りました、集合住宅をつくりました、認められました。じゃあ、公民館をつくるという話や市役所をつくり、図書館つくり、最終的に美術館をつくれば、俺は巨匠だと言っている。後半は公共事業ですからね。2015年までにそれをやり遂げないと、新設の公共事業は0ですから、そうなると世界で活躍しなければいけない。
平沼:
芦澤さん。僕ら、いじめられていますね。
山崎:
何回も言いますが「僕の」悩みです。僕の悩みですから、優秀なみなさん方は大丈夫だと思いますが。
芦澤:
いやいや。
山崎:
と言っておかないと、建築業界に喧嘩売ってるのかと。建築学会でもその話をしたらむすっとしていて。でも、わからないですよ。データがそうでているという訳ですから、ひょっとしたら神様が降りてきて公共事業を与えてくれるという可能性を信じる人たちはそれでいいかもしれないし、中国だ、ドバイだ、ブラジルだ、インドだの渡り歩く人たちはそれでいいかもしれない。けど、いずれにしても実績がないと呼んでくれないですからね。日本国内で何をつくるかというのが重要な気がします。

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