平沼 : 音楽だったら絶対音感のように、妹島さんには絶対スケール感みたいなものがあるのかなと思ったりしています。そういうのをご自身で感じられたことはないですか?

芦澤 : うんうん、僕も思っていて、妹島モデュロールみたいなものがあるとか、感覚巻尺もっているとかですか?(笑)

妹島 : (笑)・・・とにかくいろいろなスケールで確認するということはありますね。今、犬島のアクリルの2期をやっているのも、集落の中でみるケースと、事務所で1/50でみるケースとでは違っていて、もうちょっと大きくしたものをつくってみたり、先日はダンボールを敷地にたてて体験するというのをやってみました。そしてそれをもう一回写真にとって確認してみたり。私の個人の体験だけだと危ないと感じてしまうのですよね。すごく近い関係だけで考えちゃうから。体験を一回写真にとってもう一回事務所で引いて見る。そういうことを繰り返しやりながらカーブとかを含めながら考えてみる。それでも失敗するときもあるのですが、なるべくやるだけのことはやって、わからないで失敗するのを避けたいなと思っているだけなんです。

平沼 : たくさんの模型をつくって考えていく時、妹島さんはどんなスケールの模型だと、自分の感覚に近いと思われますか?1/100が好きとか1/200が好きとか。一番自分の感覚がつかみやすいスケールがあればおしえてください。

妹島 : いや、それがないので困ります。結局、いろんなスケールを平行してやっています。

芦澤 : スタディは基本的に模型でやられるのですか?

妹島 : ほぼ模型なのですが、カーブが多く含まれるものになると模型だけではついていけないので、CGと両方やるようにしています。

芦澤 : 妹島さんは現場に行かれて多くを変更されるタイプですか?

妹島 : 昔はそうだったのですが、海外では変更すると、何が降りかかってくるかわからないこともあって今はあんまりしないようになっています。でも、最初の10何年くらいは、確認申請は必ず2度出すというくらい変更していました。金沢くらいからですかね、やらないようになってきました。

芦澤 : それまでにビシッと決めるという…

妹島 : ある程度そういうふうになってきましたね。

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