会場A:妹島さんにとっての気持ちいいだったり、きれいだったり、楽しいと感じるものはどういうものなのかということと、建築はたくさんの人が使うのでそういうのを共有しない人がいる状況の中でも、そのことをどう知らせることができるのか、そんなことをどうか教えてください。

妹島 : 綺麗とか気持ちいいということだけじゃなくて、ものをつくるときに100 % のすべての人がすごくいいと思うわけはないだろうと思っています。特に公共のものをつくるときですね。できれば50%より多い人がいいなぁと言ってくれるといいなと思っているのと、ある程度、きれいということとか美しいというのは100 % じゃなくても共有できるところもあるのかなと思っています。快適かどうかということは、非常に具体的に考えます。ここに座っているときに、横に人が立っていたら不快じゃないかとか、ここは窓が開いていたほうが風が流れていいのではないかとか。でももし、そういうプランになっているときは代わりにどうしたらいいのだろうかということを考えます。

会場B:妹島さんがクライアントの方から仕事を依頼されるときに、最初に考えられること、されることはなんでしょうか?

妹島 : その場所に合うか合わないか。どうやってジャッジするのかという話になるのかもしれませんが、それを一番に考えますね。その場所を模型に置き換えて、大きなスケールでみたときに、逆に小さくその周りをみたときと、それは大きさだったり置き方だったり。いろんなことでその場所ってつくられていると思うんですよね。たとえば、その街が石でできている街だったら、あんまり軽い材料を使っても良くないだろうとか、重さみたいなものがその場所にあるのかなと。それは建築のプロポーションにも関係してくるだろうし。そういうのと連続性があるものをつくりたいな、と思っています。

平沼 : ありがとうございました。
最後に、建築家ってどんな職業ですか?という質問なのです。毎回、お越しくださる建築家の方に聞いていて、みなさん個性的に答えてくださっているのですけど…妹島さんはどのように感じておられますか?

妹島 : いろんな関係の中で世の中ができていて、いろんな違う職業の人が違うやりかたで関わっていると思うのですけど、私としては、それを空間ということで、整理するというか、提案できるという職業だなと思います。

平沼 : 最近、大学の建築学科では女の人がたくさん学ぶようになってきていて、妹島さんの影響だなと大学の先生なんかは感じていると思うのです。今日も、建築のレクチュアなのにこんなに、女の人の率が高いのはすごいなと思っています。女子へのメッセージを一言いただければ…

妹島 : 女子へのメッセージ…難しい…(笑)。男子も大変だと思うけど女子も大変で、特に建築は…。でも特に女子へというわけではないのだけど、いろいろ大変なんだけど、みなさんがんばってやりましょう。

平沼 : 時間いっぱいになってしまいました。今日はこれで終わります。妹島さん、今日はほんとにありがとうございました。

芦澤 : ありがとうございました。

妹島 : みなさん今日は、ありがとうございました。

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