芦澤:いつもの倉方塾みたいに長めの批評をするって感じになりましたね..(笑)

倉方:いやいや、建築家の前でこうやって話していくと、建築っていろいろ面白い価値が出てくるんじゃないかなって思ってもいます。

芦澤:いろんな建築家を呼んで、「いやあ、やっぱ近代を追ってるな」っていう人も多かった気がします。

倉方:うんうん。

芦澤:前回石山さんも話をされていましたが、我々やっぱり近代の教育を受けているわけですよ。やはりそこは根深くて、受けてしまってるからなかなか払拭できなくいる。、でもただ、今この時代に過去のスタイルずっとやり続けても環境面においても経済面においても、もう行く先が正直見えてしまってる。だから、パラダイムシフトを自分たちなりに建築家はみんな考えないといけない、とそれぞれ模索しながら、と思ってるんですよね。

倉方:なるほどね。どうですか?ちょっと簡単に総括的なところから平沼さんいかがですか?

平沼:いやァ、振り返ると、とっても緊張したなあと思っています。(笑)もう、なんだか今年ほんとに大変でした。

倉方:今年のゲストの方は、結構ヘビーだよね。

平沼:はい。(笑) 芦澤さんが中々、折衝をやっていただけないもんですから、僕がみなさんとやるんですよ。まずは問い合わせくらいからです。学生の頃から、コンペに出していたりしたものですから、その審査をしてくださった建築家だったり、独立してからもちらっとお会いしていたり。そんな細い糸をたどりながら、申し入れのメールを打つんですよ。でも、だいたい覚えてないじゃないですか、そんなのって。(笑) だから、そんなのからはじめてって、ここに登壇していただくまで、今年度はじめの妹島さんは半年くらいかかったんじゃないかな?

倉方:あァそう。妹島さんが一番大変でした?

平沼:一番大変だったですね。でも、それまでのプロセスも含めて楽しかったです。

倉方:世界を駆け回ってる建築家ばかりですからね。

平沼:ちょうど一年くらい前だったと思うんですけど、3月の8日とか20日とか、2、3回予定が変わって、どこにいるかわかんないんですよね、本人でも。だから、どっから来るかわかんないみたいなことになってて。結局当日、フランスから来たんじゃないかな。よく来てくださいました。

倉方:実際にそうやって会って、じっくり話を聞いたりしてどうでした? なんか印象が変わった建築家の方はいますか?

平沼:印象通り怖い人は怖いし、優しそうな人は優しいのですけど、芦澤さんなんてお師匠さんだからよく知ってると思うんですけど、石山さんが紳士的な方でびっくりしました。

芦澤:それは僕も一番驚きましたね、石山さんが。よく知ってるだけに。他の方は、こう言っちゃ失礼ですけどだいたい予想通り。大きく外れてない。メディアが今はこれだけあるので、メディア通して見えてた人とそんなにずれがなくて。

倉方:なるほどね。さっき言ったみたいに、作品とプロジェクトが変わっても、中心に建築家っていう今までと違うことをやる人がいるから、新しい流れが生まれたり価値が生まれたりするっていうのは、変わんないと思うんですよね。だからって、建築家が要らなくなるわけじゃなくて、ますますその仕組みとか、プロジェクト的なものを作っていくときには…。元々施主ってあれ仏教の用語から来てて、施主っていうのは、お寺出すときにお金を出してくれる人のことを施主っていう風に。施しをする主が施主だから。

平沼:この写真が第1回目ですよね?

芦澤:ドットかな。

倉方:ドットのときは、どうでした?

平沼:ドットの時はね、僕は1回目でどういう形式でやった方がいいかってことを模索していて、座談会的にやっていたのですよね。

倉方:あっ、ほんとだ。これはいいね、くだけた感じで。

芦澤:ドットはおもしろかったですね。1年目で関西の若手を呼んで良かったなって思うのは、東京とは違う、それぞれがキャラを持っていて。そういう意味では呼んだ5組は良かったです、まあ2年目はどちらかというと藤本さんや五十嵐さんや若手も、まあ僕らと同じ世代の人もいましたけど、まあ東京の人が多くて。

倉方:東京とは何か違うキャラってどういう感じだと思っていました?

芦澤:メジャーストリームではない独自の視点をそれぞれが持っていた気がします。流れに染まっていない感じですね。それは仕事の内容も仕事の仕方も。だから、一括してどうだってことは言えないんだけど、各人がタイガースみたいな感じですかね?

平沼:何?それ、ようわからん(笑)この写真は、山崎亮さんですよね、2回目。

倉方:いきなり、建築家じゃないじゃないですか。

平沼:今は、コミュニティーデザイナーという活動をされているみたいですけど、この場所に登壇された時は、序章はありましたが、まだまだ、今のような活動をされる前だったような気がします。
倉方:まだ、ランドスケープデザイナーとか名乗ってたときでしたよね。僕この前北九州にお呼びして、そんときにランドスケープデザイナーって言ってました。

芦澤:ものづくりというより、基本ことづくりで、でもものもつくれてるわけですね。おっしゃる通り、山崎さん曰くランドスケープデザイナーのランドスケープをつくるということと、コミュニティーデザインということ、その両軸があって。このときはまだ両方やられてる印象がありましたし、確か自分のことも建築家って言っていたと思います。本人の意識としては、建築家の今までの双六モデルとは違う、自分なりのスタンスを築いてるんだというようなプレゼンだった。


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