平沼:僕も遊びにいきました。はは。

手塚:…そんな若かった?!

平沼:いやいや。

手塚:小学生しかはいれないですよ。あ、半ズボン。

平沼:半ズボン履いていて、

手塚:これでごまかしたの。

平沼:メールを下さったことがあってこれやってる期間中に。見とけって事かなと思って。できた後に行ったんですよ。結局この中で遊びますよね。これ。

手塚:あ、入っちゃいました?

平沼:入りました。

手塚:ネットの中?

平沼:ネットの中。

手塚:あーそれね多分防犯カメラ写ってますよ。

芦澤:ははは。

平沼:あ、いや、これね、入れましたよ。2年ぐらい、完成後2年ぐらい。

手塚:入れない入れない。説明見てなかっただけです。

平沼:すごい楽しいからね、箱根行った時行ってください、みんな。

手塚:本当はこういうふうに子供だけが入る空間なんですよね。私は、中学生くらいまで入れてあげていいと思うんですけどね。それと、ちっちゃい子がいるお父さんとお母さんは入っていいっていう特別な許可を。

芦澤:あーいたんじゃないですか。

平沼:ははは。

手塚:こうやって子供が自分で自由に遊びを見つけていく。ネット自体はアーティストの作品ですよね。ただ大事なのはどこから吊ってどうゆう空間をつくるかっていうのが緊密なコラボレーションの中でできているので、どこからどこまでアーティストで、どこまで建築家かはっきりしない。だからアーティストの意見もかなり私たちの構造に入ってるし、私たちの意見もネットの方に入ってるし。

平沼:すごい。

手塚:そういう作品ですね。こう、自由に人が遊んでくれる空間が好きなんですよね。こんな具合に人間が巣食ってるっていうね。

芦澤:落ちたりはしないんですか?

手塚:しますします。だけど死なないです。白いマットレスがあって、ちょっと落ちても大丈夫。だけど、この子も足になんか巻いてますよね。
これはうちの息子で、かわいいですね。

平沼:はは、はい。

手塚:これは津波の時の話で、ご存知かもしれないですけど、この木って皆さん細い木だと思ってるけどとんでもなく太い木なんですよね。だいたい車がこの上に乗ってる位ですから。木の根もこんな太いんですよ。その当時の政権が、原発の代わりに燃やして燃料にするって、それはとんでもないぞっていう話になって。本当は、仮設の幼稚園をボランティアでつくってくれって依頼があって、2つやるんですけども、その時に「これ使おう」って話をしていて、「大丈夫ですか?これ生木ですよ?」「大丈夫です」って。大丈夫ですっていうの私得意なので。後でうちの所員が苦労するだけなんですけど。

芦澤:はは。

手塚:これだけで組んでつくったやつですね。できた木が重たいんです、これが1本1.6トン。これは、400年もたせるっていう理屈でつくってるんですよね。これが有名なお坊さんで、この人が毎年、地震がきたらここへ逃げるんですよって高台で言っていて、たくさんの人を救った人ですね。南三陸って2人有名な方がいて、1人は防災庁舎さんで、最後まで呼びかけて亡くなってしまったお姉さん。この人は上の方でニコニコしながらおいてって助けた人っていう。これが上棟式。これ実はね、最初にできた公的な建築になってないですけども、結構早くできたんですね。敷地が仮設しかつくれないところだったので、仮設扱いになっています。実はもう本設に変わっています。大事なのは、この人たち皆泣いてるんですよね。この時は本当に日本人でよかったと思いましたね。で、できたのが国宝。
昔の建物を真似したわけじゃなくて、合理的にやっていくとこういうものができてくるっていう。こういう風に子供達が遊ぶ空間があって、軒が深いのが大事で、子供って手すりの外にいくんですよね。これ落ちたら結構大変なんですけどね。下に入るのも楽しいって。このお坊さん、園長先生なんですけども、下にもぐって小学生みたいな顔してるんですけどね。
津波を止めるって、政府が言ってますけど、とんでもない話で。アラスカの津波って68mあって、それが東京オリンピックの時なんですよね。石垣島のは80m超えてて。それからノルウェーの過去の地層みると200mを超える津波がきてて、要は津波って止められないですよね。200mのバリアつけるわけにいかないでしょ? そうじゃなくて、地震がきたらここに逃げるんだよってメッセージを残すのが大事。私は仮設に対してかなり批判的で、仮設をやるお金も、本設をやるお金も、そんな変わんないんですよ。ちょっとしか変わんない。じゃあなんで使ってあげなかったの? 今は高台あげたりしてるでしょ。だいたい1件5000万かかってるんです。じゃあ皆に家プレゼントしてあげられるんじゃないって。
津波がきたら皆逃げればいいんですよ。それができてなかっただけなんですよね。あれがあればとっくに復興が終わってるんですよ。本当はね。
今、堤防つくってますけど、堤防が必要なのは本当は高知なんですよね。

長くなっちゃう。400年後の子供たちへのメッセージとして、これをつくりましたって話です。
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