平沼:そうですか。あの、なぜ建築をしようと思われたんですか?

栗生:これも小学校時代なんですけれども、まず医者になりたかった。医者になりたい子って結構いたんですよ。シュヴァイツァーだとかね、野口英世だとか言う話を聞いて。それで友達と2人で、将来病院を経営しようなっていうことでね。

平沼:へぇー、それは高校時代ですか?

栗生:いやいや、小学校。

平沼:ええぇ、小学校時代!あぁ、そうですか。

芦澤:僕もお医者さん志望だったんですよ。

平沼:嘘嘘嘘!

芦澤:いやいや、本当に!僕もお医者さん志望だったんですよ、実は。

栗生:ねぇ、多いですよね。

平沼:獣医じゃなくて?

芦澤:獣医じゃないです(笑)。子供の時の話です。

栗生:人の役に立ちたいなっていうんだよね。それで放課後に家でね、図面描くんですよ、病院の。

平沼:あぁ!もう設計がはじまってる。

栗生:そうそう、2人でね、院長2人で病院の設計描いて、ここに手術室があって、病室がこう並んで、院長室、2人の部屋があって、それで看護婦室があって美人の看護婦を雇おうなって。

平沼:ははは。

栗生:ははっ、まぁそういうことをこうやっていたらね、図面描いて、こういう空間を配列していくって事が結構面白いなっていうことで、建築も面白いかなと言う風に思い始めたんですよね。で、建築の道に進むっていうことになるんですけど、その友達は医者になりました。初志貫徹したって訳ですよね。

芦澤:そのお医者さんの設計をなされたって事はないですよね?

栗生:いやぁ、ないです(笑)

平沼:それから建築学科に入られて、どのような大学・大学院生を過ごされたのでしょう?

栗生:大学に入った直後に父親の会社が倒産したんですよね。これは授業料も払えず、生活も大変な訳ですから、学校辞めようかなって思ったんですけれども、折角入ったのに学校辞めるのっていうは勿体無いなと言う事で、なんとか自分で働いて学費を出そう、生活費を稼ごうということでアルバイトを。学校には当時、時給いくらだとか、張り紙がいろいろあってね。今はこんなのないでしょうけど、郵便の住所の仕分けみたいなのだとかね。それから市川の自宅の周辺の電柱に“家庭教師やります”っていう張り紙をしてね。それで中学生を教えたりもしてたけど、もう、額が足りない。

平沼:そうですよね。

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